理念(発会宣言)
我が国は、いま、かつてどの時代にも経験しなかった速度と複雑さをともなって高度に発展しています。
その広がり、流れの遠さ、内包する絡み合いは、私達の予測をはるかに超えていきます。そして、この発展の根幹をなすのが社会を構成する「人」であり、そのひとりひとりの人格形成のあり方は、明日の社会を決定する最も重要な課題です。
教育活動に携わる者にとっては、将来を担う児童・生徒を豊かな人間性をそなえた人格として、また、この社会における有為の人として送り出すことは責務であります。社会の発展を人類の進歩に結びつけることが私たちの歓びです。
しかしながら、国民の教育的要求は質的にも内容的にも複雑、多様化してきており、これに対してわが国の教育の現状は充分に応えきっていません。
国民の教育的要求は、当然学習塾にも向けられ、学習塾も大きく変化してきております。地域に根ざした教育の場として発展してきた学習塾は、学校教育を補完する復習・進学指導にとどまらず、生涯学習の中に位置づけることが模索されています。
このような現状をふまえて、「公教育」と「私教育」の相互に均衡のとれた発展がいっそう望まれるに至っています。また、学習塾に向けられた社会的要求の高まりに対して、今まで以上に主体的に応えていかねばならないと考えます。
学習塾の教育理念は、個性的であるがゆえに批判精神に富み、その教育活動に大いに活力を与えています。しかし、また一面、閉鎖的・独善的になりやすい面も合わせもっています。いま、私たちが直面する社会的要求に主体的に応えようとするとき、私たちは胸を開き、共に考え、行動する場を求めねばなりません。互いが個性をぶつけあう中で、その個性的教育理念を内にしっかりと含みつつも、それを綜合した新しい時代に適した教育理念と具体的教育活動のあり方を求めねばなりません。その場が、「塾の会・愛知」となることが私たちの願いです。
私たちは、各塾の教育理念を尊重し、互いの閉鎖性を取り去り、学習塾全体の質的発展を求めて、大きな輪をつ
くりあげていきます。
私たちは、「塾の会・愛知」に結集し、明日の社会を担う子どもたちに大きな希望と勇気を与えることを自らの
歓びとして歩みます。
「塾の会・愛知」は、いっそうの力強さと輪の広がりを求め、飛躍をめざし、私たちに与えられた社会的責務を
全うします。
明日を展望し、人間の尊厳を高らかにうたいあげることに誇りをもって。
平成元年六月十八日
塾の会・愛知